専有卸物件や専有卸マンションといった言葉を耳にしたことがあるかもしれません。そして専有卸を調べると出てくる三為契約は、専有卸とどのような関係があるのでしょうか。不動産業界には知っておくと役に立つ知識が多くあります。この記事では専有卸と関連している、三為契約・中間省略登記についても解説していきます。専有卸や三為契約について疑問のある方はぜひ最後までお読みください。
専有卸ってなに?
専有卸物件や専有卸マンションといった言葉を耳にしたこともあるかもしれません。専有卸とはデベロッパーが建てたマンションを不動産会社などが購入し、その購入した物件を実際に住むエンドユーザーに販売する契約をいいます。マンションを一棟立てるためには膨大な資金が必要となり、その資金繰りの難しい不動産会社などが専有卸物件を販売するのです。
専有卸物件はエンドユーザーにはとくにメリットがありません。しかし間に位置する不動産会社にはメリットが多くあります。またマンションを一棟建築するのは非常に大変で時間がかかるものです。年間で何棟も建築するのは難しいため、専有卸として買ったマンションを自社ブランドとして販売している不動産会社も多数あるのです。
専有卸と三為契約の関係
専有卸は三為契約である場合と、連件で登記している場合があります。今回は三為契約について深掘りしていきましょう。
三為契約と中間省略登記は同じ意味をもつ?
三為契約は、第三者のためにする契約を略した言葉のことをいいます。売主Aと買主Cの間にもうひとつの業者Bが入り、AとB・BとCそれぞれで売買契約を結ぶ取引です。間に入る業者であるBを三為業者ともいいます。本来宅地建物取引業法で他人が所有している不動産を売買することは禁止されていますが、第三者のためである場合は例外です。
専有卸という言葉を調べるとかならず出てくる「中間省略登記」の意味をご存知でしょうか。実は三為契約とはこの中間省略登記を実現するため、考案された手法です。中間省略登記について以下で解説していきます。
中間省略登記を簡単に解説
中間省略登記は、売主と買主の中間にいる業者が登記を省略する契約です。詳しく説明をするとAが所有している不動産をBが購入し、その不動産をさらにCが購入します。この場合AからBに移転登記を行い、Bは登録免許税を支払ったうえで、Cに移転登録をするのが本来の流れです。
しかしこの登録免許税というのは高額であり、Cに売るため一時的に取得した不動産に対して支払うのは少しもったいないかもしれません。ここで生まれた手法が、中間省略登記です。中間業者であるBに移転登録を行わず、AからCに直接登記を移転することで、Bは登録免許税を支払わずに済みます。
中間省略登記の違法性
登記を扱っている法務局は、移転の経緯を正確に反映させる必要があるとし、この中間省略登記を認めていませんでした。適切な移転記録を残せないため、後々トラブルにつながる可能性があるからです。法務局に認められていないため、違法性があるといわれているようです。
しかし最高裁判所はABCの三者が同意していれば、問題ないと判断しています。法律上で問題ないとされていたため、この中間省略登記は確実に違法というわけではなく、これまで行われていました。専有卸物件には中間省略登記を行っている物件があります。
改正された新中間省略登記
法務局では認められていないのに、法律上は問題ないという中途半端な位置づけにあったのが中間省略登記でした。しかし平成16年に改正され、新中間省略登記という不動産登記法が生まれました。この改正法により登記申請の際は、登記原因証明情報を添付することが必要となったのです。
新中間省略登記の登記方法は二種類あります。(1)第三者のためにする契約方法(2)買主の地位を譲渡する方法です。(1)の第三者のためにする契約方法を「三為契約」といい、売主であるAと中間業者であるBの間で、最後の名義人であるCに直接移転できる特約を売買契約書に盛り込みます。そのうえでBからCへの売買契約書を作成することで、AからCへ直接所有権を移転可能です。
(2)の買主の地位を譲渡する方法では、AとBが売買契約を結び、買主の地位を譲渡する契約も交わします。そうすることで登記を省略できるのです。第三者に向けた売買契約をする不動産会社のことを「三為業者」といいます。
まとめ
この記事では不動産における専有卸の意味と、三為契約・中間省略登記について解説しました。不動産は大きな資金が動くものでとくにマンションやビルなどは、登記にかかる税金も高額なものになります。新中間省略登記を行うことで、中間業者は登録免許税を支払う必要はないことがわかりました。
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